「海に眠るダイヤモンド」
脚本:野木亜希子 演出:塚原あゆ子 プロデューサー:新井順子
ドラマというものは「脚本」と「演出」で決まる。
なので、この作品の詳細を見た時からこのドラマに対する期待値は高かった。
かつて「Nのために」「最愛」「アンナチュラル」等といった、個人的神作品を創作
されたお三方。
その期待に十分に応えてくれる作品だった。
舞台は長崎県端島(現・軍艦島)
私の世代だと「軍艦島」という呼び名がしっくりくる。
物語は現代2018年の新宿から1955年の端島の人々の生活へと、時代が入れ替わりながら
進んでいく。
主演の神木隆之介演じる端島の「荒木鉄平」と新宿の売れないホスト「玲央」の
一人二役。
そして周囲を固める脇役たちも、國村準・宮村信子・斎藤工・杉咲花・土屋太凰など
豪勢な面々。
高度経済成長期の端島で生きる人々のリアル生活と苦悩。
それと対比するような現代を生きる宮本信子演じる「いずみ」
彼女が果たして誰なのか?
という疑問を持たせながら、第五話まではお得意の「ミスリード」であれやこれやと
考察しては惑わされる。
この展開がほんとに好き^^
それでもこのドラマが他の作品と一線を画しているのはその根底に流れるテーマ。
男女6人の恋模様はあくまで表層的なもので、高度経済成長期の日本を支えたであろう
「炭鉱員」達の生活とその過酷な労働環境。
私たちが当たり前のように使っている電気の起点は黒いダイヤといわれた「石炭」
分かっているようで実は分かっていなかった事をこのドラマで思い知らされた。
命懸けの仕事に誇りを持つ炭鉱員に、「戦争」と「敗戦」と「原爆」という影を背負う人々。
私たちの知らない「端島」とそこでの暮らし。
小さい島で懸命に生きて、日本経済を支えた炭鉱員たちの生活に胸が詰まる。
日本に住む人々に是非とも観て欲しい作品。